1980年11月16日

5時50分トイレに行くため起きる。済んで出てみたらスリッパなくどうしたものかとうろうろ。仕方なしに裸足で部屋に入る。しばらくして前のベッドの十亀さんがスリッパあったといって持って来てくれた。良かった。

6時35分体温測定36.5度。7時朝食時間。8時10分美智子来て注射。看護婦さんが来てないというので行ってみると一人もいない。しばらく待っていると一人来る。私はトイレに行く。出てみると美智子注射済んで待ってた。一緒に部屋に行き美智子は朝食する。時夫は朝食済んで部屋に来ていた。

昨日給料あったというのに一銭もくれないという。私はまたも不安になる。退院する時支払いしてくれるかしら。退院して帰りに十万円くれるのかしらと心配になる。夫は気が利かない。自分から何か買って食べさせてくれたら良いがそれすらしない。今日は日曜日だから時夫ゆっくり寝かせて美智子連れて来てくれることもしない。

確か姉さんに知恵を付けられたのだろう。何もかもほっとけと言われたのだろう。赤の他人だから仕方ない。夫は他人、子供は身内と割切れなくちゃ。そう思ったら恨んだりもしない。

8時35分時夫洗濯あるので帰る。10時10分未だに先生来ないのか放送ない。早く手当て済んだらいいのにと思う。日曜日だから仕方ないだろう。10時40分処置室に行き、ガーゼ取り替えする。今日は高須賀先生だった。先生の話によればおかしいところがあるので放射線科の先生と良く相談して放射線科受けた方が良かったら受けるようするからという。

おかしいところというのは食道の方にできものできている。それが背中にできているといったがそれだと思う。また入院が長引くのだと思う。標本ができたというがどんな標本だろう。見たいものだ。一つ心配ができた。私っていよいよ不幸に生まれついているのだと思う。まだ私以上不幸な人がいるのだからこらえよう。

10時55分十亀さんより寿司もらう。久保さんよりせんべいもらう。朝はゼリー。今テレビでCMやってるゼリーだ。初めて食べておいしかった。入院したお陰で色々と食べられるが子供にも食べさせたいと思う。私が退院したらうんとごちそうしてあげよう。後どのくらい入院したら良いのだろうか。もし放射線科受けると1ヶ月超えるのじゃないかしら。退院しても通院でできないものかしら。美智子も時夫も心配でならないから。美智子今日もおなか痛いという。早く病院に連れて行かなければいけないのにと思う。

11時昼食時間。その後雑談する。1時半隣のベッドの水口さんよりおもちをいただく。久し振りにお餅食べる。美智子が糖尿病になって以来お餅なんか食べたことなかった。本当に久し振りに食べた。皆からもらって食べる方が多い。私からあげるのないから肩身の狭い思いがする。二、三日前母が皆に食べるためあげるのに買って来るというからどんな物買って来るかと思えば仏さんにあげるようなまんじゅう買って来るなんて。私は恥ずかしかった。お菓子かお寿司でも買って来たら良かったのに。私は母には本当にいつも参ってしまう。少しは常識持って欲しいし迷惑かけないようにして欲しいと思う。

時生君と美智子は風邪引かなければよいが。今日月の友という布団の月賦を頼んだが。明日行くらしいが、上布団がないので頼んだけどさぞ夫怒ることだと思う。

1時50分体重測定56kgあった。朝測った時55.2ぐらいあったのにそれだけ食べたことになる。2時半母来る。またも時夫の職のことで怒ったり、みかん食べないといけないと怒ったりやかましいことばかりいう。来ない方がうれしくなる。折角来てくれるのに悪いけど余計気が重くなってくる。

3時15分夫来る。夫には先生が言ったことには放射線科で相談して放射線受けるようなったら通院でできるようなるらしい。良かった。それにぼつぼつ退院できるとも言ったらしい。今度喉が悪くなったらえらい大きく切ってするらしい。もう二度と同じ所を手術したくない。

4時夕食時間。おかず持って行ってもらうことにした。それすら母は気に入らないのだ。5時半夫は帰って行く。布団を月の友会社で5回月賦で買うこと夫にいうと承知してくれた。それは人がいるから言わないのだが、帰ったらさぞ怒るだろう。でも上布団が足らないから仕方ないだろう。夫もわかってくれると思う。

6時25分テレビ見る。ミュージックアワー。7時体温測りに持って来る。36.6度。脈測り尿の回数、便の回数、症状なんか聞いて部屋を出る。9時消灯時間。今晩はパンツもパジャマも替えよう。汚れて見苦しいから。明日昼頃洗濯することにする。

それより子供たちどんなにしてるかしら。さぞ寒がってるだろう。それに食事どんなにしてるかしら。たった2300円しかあげなかったが時夫も私の事情よく知ってるからお金のこと言わないのに気を利かして夫がお金あげてくれたらくれたらいいのにと思う。今晩夫に時夫にお金あげるよう言ったからどのくらいあげるかしらないけど、きっとお金あげると思う。そう信じる。私のため難儀してるのに、美智子を病院まで毎朝連れて来てくれるのに一体夫はどんなに思ってるのかしら。

時夫君よ、美智子君よ、お母さんのために苦労掛けたり心配させてごめんなさいね。さぞ辛いだろうと思います。でももうすぐですからがんばって下さい。本当に有難うね。感謝します。